薫ちゃんの徒然囲碁日記

囲碁に少しでも興味を持ってくれた方が、より囲碁を楽しめるような豆知識を紹介していきます。

第40話「本能寺の変と囲碁との意外な関係」の巻

石野先生「今日は、本因坊算砂(ほんいんぼうさんさ)にまつわるエピソードを紹介しようか。」

薫ちゃん「算砂さんって、確か本因坊家を興した人ですよね。信長、秀吉、家康に仕えてたって。」

石野先生「その算砂だけれど、実は本能寺の変とつながりがあるって知ってる?」

薫ちゃん「本能寺の変って、あの明智光秀の・・・」

石野先生「そうなんだ。ちょうど『麒麟がくる』が放映されているところだから、その本能寺の変のエピソードを紹介してみよう。

薫ちゃん「ドキドキ・・・」

石野先生「その前に、薫ちゃん、『三コウ』って知ってるかい?」

薫ちゃん「『三コウ』・・・『3つのコウ』ってことですか?」

石野先生「そのとおり。囲碁にはコウのルールがあって、コウはすぐには取り返せないってことは知ってるよね?」

薫ちゃん「はい、いつもそれで頭を悩ませてます。」

石野先生「このコウのルールのおかげで同じ形が反復することが解消されているんだけどね、お互いの石が攻め合っている時にコウが3つできちゃうと、双方がどんどん別のコウを取ることができてしまって、勝負がつかなくなっちゃうんだ。これを『三コウ』というんだよ。」

薫ちゃん「『三コウ』ができちゃったら、勝負はどうなるんですか。」

石野先生「どちらかがコウを譲ればいいんだけれど、どちらも譲らない場合には無勝負になってしまう。もちろん、滅多にないことだけどね。僕も、これまで経験したことがないくらいだから。」

薫ちゃん「で、その『三コウ』がどうしたんでしょう。」

石野先生「うん、本能寺の変の前日、本因坊算砂と鹿塩利賢(かしおりげん)が信長の前で対局していた時に、奇跡的にその『三コウ』の形が出現したんだ。」

薫ちゃん「えっ!?前日にですか?なんて偶然!」

石野先生「本当だね。当時は囲碁のルールもそれほど整理されていなかっただろうから、算砂先生もさぞかし驚いただろうね。」

薫ちゃん「その算砂の対局は、どうなっちゃったんでしょうか。」

石野先生「記録が残っていないから何ともいえないのが残念だけれど、現代と同じように無勝負になったんじゃないかな。で、それ以来、『三コウ』は不吉な出来事の前兆といわれるようになったんだって。」

薫ちゃん「こわ〜い・・・みんな、『三コウ』ができないように気を付けないといけませんね。」

石野先生「薫ちゃん、安心して。今ではこのエピソードは、後世の人々の作り話だといわれているから(笑)」

薫ちゃん「ひど〜い(怒)先生、私をだましたんですね!」

石野先生「ごめんごめん。でもね、『火のないところに煙は立たぬ』っていうじゃない。『三コウ』だったかどうかは別として、本能寺の変の前に、算砂にまつわる何かしらの出来事は本当にあったのかもしれないよ。」

薫ちゃん「まあ、そうかもしれませんけど・・・」

石野先生「でね、僕が期待しているのは、このエピソードが『麒麟がくる』で放送されることなんだ。」

薫ちゃん「確かにこれまでにも囲碁のシーンはありましたし、面白いエピソードではあるんですけど、ちょっとマニアックすぎませんか?」

石野先生「う〜ん、やっぱりそうかなぁ。」

薫ちゃん「コウができてるだけじゃ、映像的に盛り上がりに欠けますしね。」

石野先生「じゃあさ、算砂が勝負どころで力一杯石を打ちつけた瞬間、碁盤が真っ二つに割れちゃうってのはどう?」

薫ちゃん「算砂さん、どれだけ怪力なんですか!」

石野先生「勝負が終わってみると、盤面に何やら不吉な文字が・・・」

薫ちゃん「そんなおフザケ、NHKさんがやるはずないでしょ!」

石野先生「そっかぁ、そうだよね。でも、ちょっとだけ期待してみようよ。」

薫ちゃん「はいはい、分かりました。」