第24話「時代別の最強棋士(江戸時代編)」の巻
石野先生「薫ちゃん、昨日面白い動画を見つけたんだよ。ちょっと見てみない?」
薫ちゃん「いいですよ。」
石野先生・薫ちゃん (動画視聴中)
石野先生「どう、面白かったでしょ?」
薫ちゃん「えっ、う〜ん・・・」
石野先生「あれ?あんまりだったみたいだね。」
薫ちゃん「だって、知らない人の名前ばかりいわれても、全然ピンとこないし・・・本因坊って名前は、前に先生から聞いたことがあったけど・・・」
石野先生「そっか、そうだよね。」
薫ちゃん「あと、橋本宇太郎さんも覚えてました。『火の玉』ってあだ名が付いてたって本当だったんですね。」
石野先生「そこは覚えてたんだ(笑)」
薫ちゃん「昔の棋士なんて、当たり前だけどチンプンカンプンです。」
石野先生「江戸から明治にかけての棋士については、日本棋院の本に『古典名曲選集』というシリーズがあってね、そのタイトルを見ればどんな棋士だったかがなんとなく分かると思うよ。
本因坊道策「玄妙道策」
安井知得 「泰然知得」
本因坊丈和「剛腕丈和」
十一世井上因碩「英傑幻庵因碩」
本因坊秀和「堅塁秀和」
本因坊秀策「秀麗秀策」
本因坊秀甫「黎明秀甫」
本因坊秀栄「流水秀栄」
どう、イメージがわくかな?」
薫ちゃん「はい、何となくですけど。」
石野先生「何となくで十分だよ。僕だって、実際の碁を見てもピンとこないんだから。」
薫ちゃん「ところで、先生にとっては、誰が最強で誰が最好なんですか?」
石野先生「それね、まず最強は『本因坊丈和』を推すかな。」
薫ちゃん「強い人なんですか?」
石野先生「もちろん!『剛腕』の異名の通り、とにかく力が強かったんだよ。ただ、強い人って何人もいて、丈和が技術的にトップかといわれると一介のアマチュアでは何ともいえないんだけれどね。丈和の色々なエピソードを聞いていると、丈和なら何とかして他の棋士にも勝っちゃうんじゃないかって思えてくるんだ。」
薫ちゃん「へ〜、どんなエピソードがあるんですか?」
石野先生「それ、全部語ってたら、1冊の本になっちゃう。まあ、これからおいおい紹介してあげるよ。」
薫ちゃん「じゃあ、最好は?」
石野先生「これは断言できる。『幻庵因碩』だ。」
薫ちゃん「『幻庵』って、すごい名前ですね。」
石野先生「ああ、これはあだ名みたいなものでね。本名は『井上因碩』なんだけれど、井上家は代々井上因碩を名乗る決まりになっていてみんな同じ名前だから、それぞれを区別するためにあだ名がついているんだよ。」
薫ちゃん「『火の玉宇太郎』みたいなものですね。」
石野先生「う・・・違う・・・違うけれど、微妙に当ってる気がしないでもない・・・」
薫ちゃん「何ブツブツいってるんですか。」
石野先生「確かに、関西棋院には橋本先生が2人いて・・・でも『火の玉』は2人を区別したいわけじゃなくて・・・いや、まさか薫ちゃんがそこまで知ってるはずもなくて・・・」
薫ちゃん「変なの。もういいです、幻庵さんについては、自分で調べますから!」