薫ちゃんの徒然囲碁日記

囲碁に少しでも興味を持ってくれた方が、より囲碁を楽しめるような豆知識を紹介していきます。

第38話「仲邑菫ちゃん、大活躍!」の巻

石野先生「昨日の本因坊戦リーグプレーオフは、すごい対局だったね。」

薫ちゃん「私みたいに囲碁を覚えたてでも、何だかドキドキしちゃいましたもんね。」

石野先生「平田先生の解説も、面白かったからだと思うよ。あんな中継をどんどんやってくれれば、『観る碁』ももっと盛り上がるんだろうけどね。日本棋院さんも、どんどん企画してほしいな。」

薫ちゃん「朝ネットを見たら、仲邑菫(なかむらすむれ)ちゃんの記事が載ってましたよ。おかげ杯の予選で、決勝まで行ったんだって。」

石野先生「おかげ杯というのは、割と最近創設された棋戦でね。若手棋士を対象とした、トーナメント方式の早碁の棋戦なんだよ。」

薫ちゃん「『おかげ杯』って、変わった名前ですね。」

石野先生「伊勢神宮前にある『おかげ横丁』で開催されることから、この名前が付けられたんだ。ローカルな棋戦だけれど、その分アットホームな棋戦で、棋士の皆さんにも人気なんだって。」

薫ちゃん「菫ちゃんが挑戦してたのは、その予選なんですね。」

石野先生「うん、決勝トーナメントは16人で争われるんだけど、そのうち3人が女流棋士の枠になっていてね。その3人を決める予選が行われたわけだ。」

薫ちゃん「1日に3局も打たれたそうですよ。」

石野先生「1手30秒の早碁だから、時間は大丈夫なんだろうけれど、それはそれは疲れるだろうね。アマチュアでも、1日に3局も打てばヘトヘトになるもの。」

薫ちゃん「菫ちゃんはまだ若いから、大丈夫ですよ。」

石野先生「それはさておき、菫ちゃんが戦った相手がこれまたすごい。1回戦は加藤千笑(かとうちえ)初段。」

薫ちゃん「加藤さんは、女流立葵杯でも決勝トーナメントに出場していましたよね。」

石野先生「うん、残念ながら1回戦で負けちゃったけれど、その才能は折り紙つきだ。そして、2回戦は牛栄子(にゅうえいこ)二段。」

薫ちゃん「牛さんも立葵杯に出場して、1回戦突破してましたね。」

石野先生「牛さんはこの時点で、男性棋士も含めた勝ち星ランキングでトップだったらしいよ。その牛さんにも勝っちゃうんだから、菫ちゃん本当に強いね。」

薫ちゃん「そしていよいよ、決勝の相手は・・・」

石野先生「そう、我らが(?)謝依旻(しぇいいみん)先生だ。おかげ杯の出場資格は30歳以下で、謝先生は今年が最後の参加になるから、相当気合が入っているはずだよ。」

薫ちゃん「『赤い惑星』が、本気を見せるわけですね。」

石野先生「そのフレーズ、早く忘れたほうがいいと思うよ(笑)」

薫ちゃん「さて、その結果は・・・」

石野先生「謝先生の中押勝ち!菫ちゃん、決勝トーナメント進出はならなかった。」

薫ちゃん「残念でしたね。」

石野先生「でもね、敗れはしたけれど、菫ちゃんの評価はむしろ上がったんじゃないかな。例えばこの局面、謝先生が白1と控えめな手を打ったところで、菫ちゃんは黒2と真っ向勝負を挑んでいった。」

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薫ちゃん「白1は、控えめな手なんですね。」

石野先生「謝先生なら、白Aと打ち込んで行くかと思ったけどね。」

薫ちゃん「黒2の凄さも、私にはよく分かりませんが・・・」

石野先生「そうだなぁ、例えるなら『クワトロ・バジーナ大尉に殴りかかっていったカミーユ・ビダン』みたいな?」

薫ちゃん「謝先生も、『これが若さか・・・』ってつぶやいたでしょうね・・・って、何いわせるんですかっ!」

石野先生「まあまあ(笑)菫ちゃんは残念だったけれど、謝先生には決勝トーナメントでも頑張ってもらって、ぜひ有終の美を飾ってもらいたいね。」

薫ちゃん「はい、2人で応援しましょう!」