第32話「女流立葵杯速報」の巻
石野先生「薫ちゃん、女流立葵杯1回戦の対戦結果、知ってる?」
薫ちゃん「鈴木歩(すずきあゆみ)七段と加藤千笑(かとうちえ)初段との対局ですよね。どうだったんですか?」
石野先生「ここからはネタバレになっちゃうから、ちょっと雑談でもしようか。」
薫ちゃん「ネタバレ?何のことですか?」
石野先生「まあまあ、気にしない気にしない。
薫ちゃん「はぁ・・・」
石野先生「鈴木歩さんは、今年に入ってから女流棋聖のタイトルを獲ったりして、今絶好調だ。」
薫ちゃん「そうですね。でも、今までの実績もすごい方なんですよね。」
石野先生「女流最強戦というトーナメント戦を2回も優勝しているし、7大タイトルの1つである天元戦では本戦にまで勝ち進んだこともある、女流の第一人者の一人だね。」
薫ちゃん「女流最強戦・・・聞いたことないなぁ。」
石野先生「ああ、もう無くなっちゃった棋戦なんだ。小さなタイトル戦は、結構新しくできたり無くなったりしているんだよ。」
薫ちゃん「日本棋院のホームページによると、林漢傑(りんかんけつ)先生と結婚されてるんだとか。」
石野先生「そうみたいだね、僕も知らなかったよ。ちなみに、林漢傑先生はNHK杯の解説にも何度か登場しているけれど、解説がとても丁寧で分かりやすい、『この人、絶対いい人!』って感じの人だから。もう、画面からでもいい人オーラがにじみ出ているんだ(笑)」
薫ちゃん「きっと、家庭でもいい人なんでしょうね。」
石野先生「相手の加藤千笑さんは・・・入段した時には、『骨が弱い病気で車椅子で生活してる』って聞いた記憶があるんだけれど、今ウィキペディアで調べてみてもその通りみたいだね。」
薫ちゃん「そうなんですか。でも、そういうハンディキャップは関係なく対戦できるのが、囲碁のいいところですよね。」
石野先生「その通り!薫ちゃんも、分かってきたね。」
薫ちゃん「ところで先生、そろそろ対局の結果を教えてくれませんか?」
石野先生「ああ、そのことね。危なく、忘れるところだったよ。」
薫ちゃん「もうっ!」
石野先生「2020年3月30日に行われました、第7期会津中央病院・女流立葵杯1回戦回 鈴木歩七段と加藤千笑初段との対局は・・・」
薫ちゃん「ドキドキ・・・」
薫ちゃん「キャー・・・って、何の演出ですか、これ?」
石野先生「まあまあ、これくらい盛り上げておかないと。」
薫ちゃん「鈴木さんの貫禄勝ちですかね。」
石野先生「『幽玄の間』で棋譜を見てみたんだけれど、加藤さんはちょっと硬くなっていたのか、十分な力を発揮できなかったみたいだね。」
薫ちゃん「棋譜を見ただけで、そんなことまで分かっちゃうんですか?」
石野先生「えっ、いや、雰囲気というか何というか・・・」
薫ちゃん「な〜んだ、適当にいってるだけですか。つまりは、結果論ですね!?」
石野先生「そういわれると辛いなぁ。でも、序盤にあまり手が伸びていなぁと感じたのは本当だよ。まあ、僕なんかがプロの碁をどうこういうのは、恐れ多いんだけど。」
薫ちゃん「身の程知らずってことでしょう。」
石野先生「今日の薫ちゃん、厳しいなぁ(笑)」
薫ちゃん「ところで、次の対局はいつになるんでしょうか?」
石野先生「4月9日に、牛栄子(にゅうえいこ)二段 対 奥田あや(おくだあや)四段、上野愛咲美(うえのあさみ)女流本因坊 対 岩田紗絵加(いわたさえか)初段、の2局が行われる予定だよ。」
薫ちゃん「先生が注目の、岩田さんが登場ですね。」
石野先生「うん、相手の上野愛咲美さんは、『ハンマー』とあだ名されるほどの剛腕の持ち主なんだけれど、そこを上手くかわしてがんばってもらいたいね。」
薫ちゃん「私も応援します!」