薫ちゃんの徒然囲碁日記

囲碁に少しでも興味を持ってくれた方が、より囲碁を楽しめるような豆知識を紹介していきます。

第50話「依田先生、いよいよ訴訟に!?」の巻

石野先生「薫ちゃん、以前に依田紀基(よだのりもと)先生が日本棋院から対局停止処分を受けた話をしたと思うけれど、ついに依田先生が訴訟に踏み切ったみたいだね。自身のブログに、書いてあったよ。」


日本棋院に対して訴訟を起こしました | 依田紀基のブログ

薫ちゃん「ホントだ。新型コロナウイルスで大変な中で、棋士の皆さんや囲碁関係者の方々が頑張っているのにこんなことになっちゃうなんて、ちょっと悲しいですね。」

石野先生「全くだね。日本棋院だって、理事会のメンバーはほとんどがプロ棋士なんだから、話し合う余地はなかったのかな。」

薫ちゃん「どれだけの人が、今回の騒動の真実を知っているんでしょう。」

石野先生「そうなんだ、結局何が本当なのか、よく分からないんだよね。そのあたりは、裁判で明らかになっていくのかなぁ・・・」

薫ちゃん「どこかで、お互いが和解できるといいですね。」

石野先生「とことん争っても、誰も得をしないし、何よりせっかくの囲碁界の盛り上がりに大きく水を差すことになりかねないからね。小林理事長も、大人になってほしいところだ。」

薫ちゃん「ところで、ブログを読んでみると、依田さんは次期東京棋士会長選挙に立候補しているみたいですね。」

石野先生「そうなの!?どれどれ・・・本当だ、きっと思うところがあったんだろうね。」

薫ちゃん「今までの先生の話を聞く限りでは、会長みたいな役職は似合わないんじゃないかと思っちゃいますけど・・・」

石野先生「失礼ながら、僕もそう思うよ。でも、だからこそ、何かをやりたいって思いは強いんじゃないかな。純粋な人なんだよ、依田先生は。」

薫ちゃん「武宮さんとの一騎討ちみたいですけど、どうなりますかね?」

石野先生「う〜ん、さすがに武宮先生のほうが人望はあると思うんだけれど、でも依田先生の想いも聞いてみたいよね。武宮先生なら、その想いを汲んでくれると思うよ。」

薫ちゃん「これをきっかけに、日本棋院がいい方向に変わってくれるといいですね。」

石野先生「そうだね。コロナ問題が終息して、またみんなが碁を楽しめるようになった時に、新生日本棋院として囲碁界をリードしてもらいたいな。」

薫ちゃん「早くその日が来ることを祈って、今は『STAY HOME』です!」

石野先生「『STAY HOME』といえば、仲邑菫ちゃんの動画が可愛いから、見てみてよ!」


https://youtu.be/R6bXpCgEtvM

薫ちゃん「きゃぁ、かわいい〜。でも、随分しっかりしてますね。もう、プロの棋士って感じです。」

石野先生「この前の対局では、瀬戸大樹先生を見事に打ち負かしたみたいだからね。今年も、菫ちゃんの活躍から目が離せないよ!」

薫ちゃん「菫ちゃん、ガンバレ!」

第49話「棋士のあだ名って、面白いですね!」の巻

薫ちゃん「先生、先週開催されていた『平成生まれ世代別対抗戦』のYouTubeでの生中継は見ましたか?」

石野先生「星合先生が配信していたやつだよね。もちろん見ましたよ。星合先生の解説は面白かったし、大勢のゲストが電話出演してくれて色々な裏話も聞けたよね。ぜひ、大勢の人に見てもらって、囲碁の楽しさを感じてもらいたいなぁ。」

薫ちゃん「六浦雄太さんと謝依旻さんとの対局で、藤沢里菜さんがゲストで登場してましたよね。」

石野先生「お互い仲がいいみたいだから、話も盛り上がってたね。」

薫ちゃん「会話の中で星合さんが、『リーナゼロに聞いてみよう』って言ってましたけど、どういう意味なんでしょう?」

石野先生「あれは、大笑いしちゃったよ。まあ、薫ちゃんが分からないのも無理はないけれど・・・」

薫ちゃん「え~、そんなに面白いネタだったんですか。」

石野先生「薫ちゃん、囲碁AIの『LeelaZero(リーラゼロ)』って知ってるかい?」

薫ちゃん「はい、聞いたことありますけど・・・あっ、そういうこと!?」

石野先生「そう、藤沢里菜先生は、棋士仲間の中でも手が読めることで評判でね。『悪魔のように手が読める』と評されることもあるくらいなんだ。」

薫ちゃん「それを、囲碁AIになぞらえて・・・」

石野先生「薫ちゃん、カンがいいね。藤沢先生の深い読みをLeelaZeroの強さにかけて、『リーナゼロ』って呼んでるんだろうね。」

薫ちゃん「面白いニックネームですね。」

石野先生「棋士のニックネームにはその棋風や性格を表現したものが多いから、聞いているだけでも面白いよ。」

薫ちゃん「ほかにも、面白いニックネームがあれば教えてください。」

石野先生「そうだなぁ、じゃまずは『平成生まれ世代別対抗戦』に出場していた棋士から紹介してみようか。」

  謝依旻先生・・・・・「赤い惑星」
  一力遼先生・・・・・「先生」
  許家元先生・・・・・「許さん」「家元」
  藤沢里菜先生・・・・「リーナゼロ」
  上野愛咲美先生・・・「ハンマー」

薫ちゃん「井山裕太さんには、ニックネームがないんですね。」

石野先生「あまりにも強すぎるし、どんな碁でもこなしてアマチュアに理解できるような棋風がないから、ニックネームをつけ難いのかな。」

薫ちゃん「一力さんの『先生』って、まじめな雰囲気と早稲田大学卒業の学歴とで、ピッタリ!」

石野先生「そうだね。でも、最近新聞社に入社したから、今度は『記者さん』ってニックネームに変わるかもしれないよ(笑)」

薫ちゃん「許さんの『許さん』『家元』は、名前そのまんまじゃぁ・・・」

石野先生「これはそれぞれ、『ゆるさん』『いえもと』って読むんだよ。許先生の鋭く踏み込む棋風をよく表しているよね。」

薫ちゃん「上野さんの『ハンマー』って、女性につけるニックネームじゃないですよ。本人、嫌がってるんじゃないですか?」

石野先生「いやいや、上野先生の力強い棋風をよく表しているよ。実は、昭和の時代にも『ハンマー』とあだ名された人がいてね。上野さんは、2代目ハンマーってところかな。上野先生みたいに、力強い攻めの気風がニックネームになった棋士は多いんだ。」

  木谷実先生・・・・・「怪童丸」
  大平修三先生・・・・「ハンマー」
  宮下秀洋先生・・・・「猛牛」
  加藤正夫先生・・・・「殺し屋」
  淡路修三先生・・・・「ロッキー」
  山田規三生先生・・・「ブンブン丸
  金子真季先生・・・・「殺戮天使」

薫ちゃん「なんだか、物騒な言葉が並んでますね。」

石野先生「相手の石を殺して勝利するのは、ある意味で囲碁ファンの憧れだから、こんなニックネームがつけられるのは名誉なことだよね。他にも、棋風になぞらえてつけられたニックネームは、たくさんあるよ。」

  坂田栄男先生・・・・「カミソリ坂田」「シノギの坂田」
  藤沢秀行先生・・・・「異常感覚」
  大竹英雄先生・・・・「大竹美学」
  林海峰先生・・・・・「二枚腰」
  石田芳夫先生・・・・「コンピューター」
  武宮正樹先生・・・・「宇宙流」

 

石野先生「張栩先生・羽根先生・高尾先生・山下先生は、平成四天王と呼ばれるほど大活躍だったから、日本棋院がニックネームを公募したんだ。それで決まったのがこれなんだけれど、やっぱり自然発生したものじゃないからあんまり定着しなかったみたいだね。」

  張栩先生・・・・・・「韋駄天」
  羽根直樹先生・・・・「忍の貴公子」
  高尾紳路先生・・・・「重厚戦車」
  山下敬吾先生・・・・「フルスイング」

薫ちゃん「どれも、カッコいいニックネームですけどね。」

石野先生「カッコよすぎて遊び心がないから、逆に定着しないんだろうなぁ。」

薫ちゃん「一力先生の『先生』みたいなのは、他にないんですか。」

石野先生「もちろんあるよ。」

  橋本宇太郎先生・・・「火の玉」
  趙治勲先生・・・・・「七番勝負の鬼」
  依田紀基先生・・・・「ヨーダ
  河野臨先生・・・・・「部長」
  大橋拓文先生・・・・「宇宙人」「スペースマン」

薫ちゃん「こうしてみると、最近の若い棋士さんには、あまりニックネームがないんですね。」

石野先生「そうなんだよね。多分、AIの登場もあって序盤の打ち方が高度になってきたせいで、アマチュアが理解できるような『棋風』というものがあまり表に出なくなってきたんじゃないかな。でも、AIが登場してまだあまり時間がたっていないから、これから若手の棋士たちがAIを活用して新しい碁を生み出して、そこからまたニックネームが生まれてくることを期待したいね。」

薫ちゃん「いつか、棋士のニックネームがみんなに通じるようになるくらい、囲碁が普及するといいですね。」

第48話「先生の碁盤は、霊験あらたか!?」の巻

石野先生「おっ、薫ちゃん、ちゃんと囲碁の勉強してるね。」

薫ちゃん「先生、こんにちは・・・って、その背中に縛り付けているのは、まさか・・・」

石野先生「ああ、これ?昨日約束した碁盤だよ。」

薫ちゃん「えぇ~~~、それを背負ったままここまで来たんですか?」

石野先生「いやぁ、さすがにちょっと重かったよ。でも、バイクに乗ってしまえば、大したことはないから。」

薫ちゃん「それにしても、警察に職務質問とかされませんでした?」

石野先生「それはないけれど、すれ違う人がみんなびっくりしたような顔で振り返ってたなぁ(笑)」

薫ちゃん「すみません、そこまでしていただいて。」

石野先生「いやいや、これで薫ちゃんが囲碁の勉強に本腰を入れてくれるなら、安いもんだよ。はい、碁盤と碁石。」

薫ちゃん「ありがとうございます。傷なんかつけないように、大切に使いますから。」

石野先生「いやいやいや、僕はもうプレゼントしたつもりでいるから、好きに使ってよ。その代わり、ペア碁に一緒に出る約束、忘れないでね。」

薫ちゃん「はい、任せてください!先生の足を引っ張らないように、頑張ります。」

石野先生「ははは、その意気で頼むよ。」

薫ちゃん「先生、さっそくこの碁盤と碁石、使ってみていいですか?」

石野先生「どうぞどうぞ。」

薫ちゃん「わぁ、きれいな碁盤ですね。これ、ほんとにネットオークションで買ったんですか。」

石野先生「うん、2,000円くらいだったかな。いい買い物でしょ(笑)」

薫ちゃん「あれ、この碁石、白石にいっぱい筋が入ってますよ。これ、洗ったらとれるのかな?」

石野先生「ああ、それは縞目(しまめ)っていって、ハマグリの碁石に特有の模様だね。」

薫ちゃん「えっ、これって蛤の碁石なんですか?随分とお高いんじゃ・・・」

石野先生「大丈夫、これもネットオークションで3,000円だから。」

薫ちゃん「合わせて5,000円って、本当だったんですね。」

石野先生「碁盤も碁石も、囲碁を知らない人にとっては価値が分からないからね。時々、びっくりするほどお得に落札できたりするんだよ。」

薫ちゃん「そうなんですね。でも、こんなにステキな碁盤や碁石を貸してもらえるんだから、先生が普段使っているのはメチャクチャ高級品なんでしょうね。」

石野先生「いやいや、僕が使っている碁盤は、祖父から譲り受けたものでね。多分、そんなに価値があるものじゃないと思うよ。」

薫ちゃん「おじいさんから・・・ってことは、先祖代々の碁盤とかですか?」

石野先生「そんな大層なもんじゃないけどね。その祖父が言うには、昔近所に村のご神木といわれる大きな木があってね、村の区画整理か何かでその木を切り倒したときに、記念にその木で碁盤を作って村の世話役で分けたんだと。でも、祖父は碁を打たなかったから、その碁盤は蔵でずっと眠っていたわけだ。」

薫ちゃん「それって、すごく貴重なんじゃないですか?」

石野先生「う~ん、エピソードとしてはそうかもしれないけれど、今となっては何の木だったか分からないし、硬すぎる木で打ち味もよ良くないし、碁盤としての価値はそんなに高くないと思うよ。まあ、その話を聞かされているから、手放すわけにはいかないんだけどね。」

薫ちゃん「村のご神木で作った碁盤なんて、霊験あらたかですよね。」

石野先生「そうかもしれないね。僕の家族は誰も碁を打たないから、僕に何かあったらその碁盤は薫ちゃんに引き継いでもらおうかな(笑)」

薫ちゃん「えっ!?それって、まさか、プロポ・・・」

石野先生「いや、違う!絶対に、違う!」

薫ちゃん「そんな、全力で否定しなくても(笑)」

石野先生「あ~、びっくりした。本当に、びっくりした。」

薫ちゃん「びっくりしすぎですよ、先生。じゃあ、碁石のほうにも何かエピソードがあるんですか?」

石野先生「碁石のほうは、普通のガラスの碁石だね。」

薫ちゃん「じゃあ、自分はガラスの碁石を使って、私に蛤の碁石を貸してくれるんですか!?」

石野先生「この碁石は、僕が囲碁を始めたいって言ったときに、母親が買ってくれたものでね。何となく使い続けているんだよ。何度も言うけれど、碁の強さは道具に関係ないからね。」

薫ちゃん「先生って、結構マザコンなんだ!でも、そんな素敵な道具に囲まれて、幸せ者ですね。」

石野先生「大人をからかわないでよ(照)」

薫ちゃん「私も、先生から貸してもらったこの碁盤と碁石、大切にしますから。」

石野先生「まぁ、頑張って勉強してよ。」

薫ちゃん「は~い!」

第47話「碁盤と碁石、どうやって手に入れる?(後編)」の巻

石野先生「じゃあ、薫ちゃん、続いて碁石の話をしようか。」

薫ちゃん「はい、お願いします。」

石野先生「碁石はね、材質と厚さによって値段が決まるんだ。」

薫ちゃん「碁石にも、材質があるんですね。」

石野先生「1番お高いのは、蛤(はまぐり)でできた白石と、那智黒と呼ばれる石でできた黒石のセットだ。」

薫ちゃん「白石って、蛤でできてたんですね!」

石野先生「高級品は、蛤の貝殻をくり抜いて作っているんだ。当然、厚い碁石を作るためには、大きく成長した蛤の貝殻が必要になってくるから、厚くなればなるほどどんどんお値段も高くなっていくよ。」

薫ちゃん「これも、私のお小遣いじゃ買えそうにないので、もう少し安いものはありませんか?」

石野先生「次は、ぐっとお安くなって、ガラス製の碁石がある。薫ちゃんには、このあたりがおすすめかな。」

薫ちゃん「ガラスの碁石にも、やっぱりいろいろな厚さのものがあるんですか?」

石野先生「そうだね。でも、ガラスの碁石は工業的に作るから、それほどはお値段に差がないよ。それにね、碁盤と同じで、厚ければいいってものでもないんだよ。」

薫ちゃん「そうなんだ!」

石野先生「ぶ厚い碁石は、パチンといい音はするんだけれど、打ったあともしばらくゆらゆら揺れているし、下手に打つところころ転がっていっちゃうしで、結構扱いづらいんだ。おすすめは、厚さ9㎜(32号〜33号)くらいのものかな。」

薫ちゃん「じゃあ、私はガラス製の碁石にしようっと。」

石野先生「そうだね。1番安いもので、プラスチック製の碁石もあるんだけど、打ったときの『ペチッ』っていう音は、さすがに雰囲気が出ないと思うよ。」

薫ちゃん「最後は、碁石のケースですね。」

石野先生「ケースって・・・あれには『碁笥(ごけ)』っていう立派な名前があるんだから。」

薫ちゃん「えっ、全然知りませんでした・・・」

石野先生「碁笥も、材質と大きさで値段が決まるんだけれど、これもとりあえずは木でできたものを買っておけば無難かな。一応、桑の木でできたものとかが高級品なんだけど、そこまでしなくても、栗の木とかの安いもので十分だと思うよ。」

薫ちゃん「プラスチックのケース、じゃなくて、碁笥もありますけど、やっぱりダメですか?」

石野先生「全然ダメじゃない。まあ、石を入れたり、アゲハマを蓋に入れたりするときの『カラン』っていう音が、プラスチックだと安っぽいかなっていう程度だ。」

薫ちゃん「・・・やる気を出したいから、木の碁笥にします!」

石野先生「碁盤・碁石・碁笥の3点セットがあれば、完璧だね。」

薫ちゃん「さっそく、ネットで調べてみます!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

石野先生「どう、薫ちゃん、お気に入りは見つかったかい?」

薫ちゃん「・・・先生・・・碁盤も碁石も意外と高いんですね・・・」

石野先生「う〜ん、さっきの条件で新品を買おうとすると、安いものでも3万円くらいはするじゃないかな。」

薫ちゃん「ですよね。はぁぁぁ、今はそんなにお小遣いがないから、これからお小遣いをちょっとずつためて、来年のお年玉で買うことにします。」

石野先生「おっ、すぐに親にねだったりしないところは、根性あるね。」

薫ちゃん「だって、先生に家庭教師をお願いしているのだって私の希望だし、これから大学受験とかでお金がいるだろうし、これ以上両親にわがまま言えませんよ。」

石野先生「・・・偉いっ、偉いよ、薫ちゃん(感涙)今どきの高校生は、みんなそんなにしっかりしてるのかなぁ。」

薫ちゃん「からかわないでください。」

石野先生「よしっ、じゃあこうしよう。僕が持っている碁盤と碁石を、一組薫ちゃんにプレゼントするよ。」

薫ちゃん「ええっ、そんなの、先生に悪いですよ。」

石野先生「いいんだ、家には碁盤と碁石が四組あるし、あげるのはネットオークションで落札した一番安いやつだから。」

薫ちゃん「それでも・・・やっぱり申し訳ないです。」

石野先生「じゃあその代わりにさ、薫ちゃん、その碁盤と碁石で勉強して、僕と一緒にペア碁の大会に出場しようよ。」

薫ちゃん「いやいやいや、無理ですよ。私なんかが出ても、先生の足を引っ張るだけですし・・・」

石野先生「いいんだよ、僕は出場できるだけでいいんだし。それに、目標があったほうが、勉強にも力が入るでしょ?」

薫ちゃん「分かりました。でも、もらうのはやっぱり申し訳ないので、その碁盤と碁石を私に貸してください。」

石野先生「ん、分かったよ。じゃあ、そうしよう。今度来るときに、持ってくるからね。」

薫ちゃん「はい、お願いします。」

石野先生「それにしても、どんなふうに育てたら、こんないい子になるんだろう。薫ちゃんのお母さんに、聞いてみたいよ。」

薫ちゃん「バカなこと言ってないで、勉強始めましょ、先生。」

第46話「碁盤と碁石、どうやって手に入れる?(前編)」の巻

薫ちゃん「先生は、お家に碁盤と碁石がありますよね?」

石野先生「そうだね。でも、最近はパソコンを使うことが多いから、あまり使ってないなぁ。」

薫ちゃん「私もずっとパソコンで勉強してきたんですけど、プロの碁を並べたりするときなんかのために、碁盤と碁石が欲しいなと思ってるんです。」

石野先生「そうだね、実際に石を打ちながら碁を並べるのは、いい勉強になると思うよ。」

薫ちゃん「それで、先生に相談なんですけど、どんな碁盤と碁石を買ったらいいと思いますか?」

石野先生「なかなか、難しい質問だね。まず覚えておきたいのは、囲碁は道具で強さが決まるものじゃないってことだ。高い道具を使ったからといって、囲碁が強くなるわけじゃない、だよね?」

薫ちゃん「確かにそうですね。スポーツじゃないんだし。」

石野先生「でもね、いい碁盤と碁石を使うと、やる気が出て上達がはやいっていうのも、一方ではあるんだな。かの藤沢秀行先生は、『碁が強くなりたかったら、お金をかけろ』って言ってたらしいからね。」

薫ちゃん「そこなんですよ!ずっとパソコンでマウスをクリックしながら碁を並べてても、なんか雰囲気が出なくて、すぐに飽きちゃうんですよね。」

石野先生「そういうことなら、足付きの立派な碁盤がいいと思うよ。薫ちゃんの部屋は結構広いから、置き場所にも困らないだろうからね。」

薫ちゃん「ですよねぇ。私もそう思って、昨日ネットで調べてみたんですけど、足付きってもの凄く高いじゃないですか。」

石野先生「そうだね、まともに買うと、どんなに安いものでも数万円はしちゃうかな。」

薫ちゃん「それに、色々な大きさがあって、おまけに同じ大きさでも全然値段が違ってたりして、どんなのがいいかさっぱり分からないんです。」

石野先生「碁盤の価値を決める要素は4つあってね。木の種類・一枚板か・盤の厚み・木目の4つで値段が決まるんだ。」

薫ちゃん「はあ・・・」

石野先生「まず、木の種類だけど、これは断トツで『榧(かや)』の木でできたものが高い。」

薫ちゃん「でも先生、通販サイトなんかを見ると、『本榧(ほんかや)』っていうのと『新榧(しんかや)』っていうのとがあって、値段が全然違いますよ。」

石野先生「正確に言うと『本榧』が一番高級品だ。逆に『新榧』は、一番安いといってもいいかもしれない。同じ『榧』でも、この2つは木の種類が全く違うものだから注意してね。」

薫ちゃん「あとは、『ヒバ』とか『桂』とか・・・」

石野先生「まとめると、最高級が『本榧』、次が『ヒバ』と『桂』、最後が『新榧』ってところかな。」

薫ちゃん「高い木だと、何かいいことがあるんですか?」

石野先生「『本榧』でできた碁盤は、石を打ったときに、柔らかい打ち味で、疲れないらしいよ。でも、今のところは、そこまでこだわる必要はないんじゃないかな。」

薫ちゃん「結論としては、『材質にはこだわらなくて良い』と。」

石野先生「次は、一枚板かどうかなんだけど・・・」

薫ちゃん「これも、こだわらなくていいですか?」

石野先生「まあそうだね。一枚板じゃない、複数の木を張り合わせた接合盤でも、実用には十分だ。お値段も当然安くなるしね。でも、足付きとなると接合盤ってのは少ないかな。」

薫ちゃん「『接合盤でも問題なし』ですね。」

石野先生「さて、こだわりたいのは、盤の厚みだ。」

薫ちゃん「というと、やっぱり厚い盤のほうがいいんですか?」

石野先生「いや、むしろその逆だよ。5寸も6寸もある分厚い盤は、めちゃくちゃ重たいし、高すぎて盤面が見にくいしで、実はあまりいいことがないんだ。女性は力がないし、薫ちゃんはそんなに背が高くないから、3寸くらいの薄い碁盤にするといいよ。」

薫ちゃん「『薄い碁盤のほうが、使いやすい』ですね。」

石野先生「で、最後に木目なんだけれど、これも正直こだわる必要は全くない。というより、木目にこだわるような高級品は、薫ちゃんのお小遣いじゃ買えないから(笑)」

薫ちゃん「じゃあ、長々と説明してくれましたけど、結論としては『何でもいいから、3寸くらいの足付き盤を買え』ってことですね。」

石野先生「『長々と』は余計だけれど、まあそういうこと。」

薫ちゃん「碁盤のことは分かったので、次は碁石について教えてください。」

石野先生「うん、でもちょっと説明が長くなっちゃったから、碁石については次回にしようか。」

薫ちゃん「後編に続きま〜す。」

第45話「プロ棋士のツイッターを見てみよう」の巻

石野先生「薫ちゃんは、ツイッターってやってる?」

薫ちゃん「もちろんやってますよ。でも、私自身はつぶやくことはなくて、友達とかのツイートを見てるだけです。ツイッターがどうかしたんですか?」

石野先生「新型コロナウイルスの影響でみんな外出する機会が減ったからなんだろうね、最近プロ棋士ツイッターがどんどん増えているんだ。」

薫ちゃん「確かに、プロ棋士の皆さんは、対局が中止になったり延期になったり、おまけに色々なイベントもなくなっているわけだから、家にいるしかないですよね。」

石野先生「そのおかげでって言ったら、怒られるかもしれないけれどね。」

薫ちゃん「私も、プロ棋士の皆さんのことがもっと知りたいですし、そのツイッターを教えてもらえませんか。」

石野先生「よし、じゃあ僕が知っている限り、プロ棋士囲碁に関係するツイッターを紹介してみよう。」

薫ちゃん「わ~い。」

 

石野先生「じゃあ、まずは大橋拓文先生から。大橋先生はAIにも造詣が深いんだけど、意外とツイートは囲碁に関係のないものが多かったりするんだよね。」

薫ちゃん「ピアノがお好きみたいで、ピアノネタも多いですね。」

石野先生「続いては、プロ棋士のご夫婦でツイートしている、安藤和繁先生と、中島美絵子のツイートだ。時々ご夫婦でコラボして、みんなを笑わせてくれるよ。」

薫ちゃん「お二人の真剣な表情と、パロディネタとのギャップが面白いかも!」

石野先生「どんどん行くよ。YouTubeでもステキな動画をどんどんアップしてくれている、柳澤理志先生だ。先生の動画は、初心者から上級者まで本当に勉強になるから、ツイッターで新作動画をチェック!」

薫ちゃん「動画の中にはお遊びのネタもあって、囲碁を知らない人でも楽しめますね。」

石野先生「われらが名人芝野虎丸先生は、Little Glee Monster の大ファンだけあって、リトグリネタが多いかな。」

薫ちゃん「リトグリさんのネタではしゃいでいる名人、かわいい!」

石野先生「お次は、囲碁界のアイドル稲葉かりん先生と星合志保先生だ。お二人は、NHKの囲碁フォーカスと囲碁トーナメントの司会を担当しているから、番組の裏話が聞けるかも。」

薫ちゃん「稲葉先生は、最近ツイッターを始められたんですね。」

石野先生「万波奈穂先生のツイートは、最近メチャクチャバズって話題になったんだ。独特の感性から繰り出される小ネタに、みんな注目しているよ。」

薫ちゃん「リツイート2万件越え、いいね7万件越えだなんて、囲碁界の最高記録じゃないですか?」

石野先生「三村智保先生、柳時熏先生、マイケルレドモンド先生のツイートは、初心者向けから上級者向けまで、色々な問題を出題してくれるから、上達を目指したい人は要チェック!」

薫ちゃん「レドモンド先生のツイートは、英語の勉強にもなりますね。」

石野先生「ここで登場、このブログの管理人も大ファンの、謝依旻先生だ。プライベートのネタもツイートしてくれるから、謝先生の素顔に迫れるかも。」

薫ちゃん「噂の黒嘉嘉さんも、時々登場しますね。」

石野先生「はあはあ、さすがにこれだけ続けると、疲れてきたよ。他にもたくさんあるんだけれど、最後に団体でのツイートを紹介しておこうかな。」

薫ちゃん「色々な人がつぶやいてくれるから、とってもお得なツイートですね!」

 

石野先生「どうかな、これだけのツイートをフォローしておけば、毎日飽きずにツイッターをチェックできると思うよ。」

薫ちゃん「私も、プロ棋士の皆さんのツイートにコメントしたり、メッセージを送ったりしてみようかな。」

石野先生「そうだね、そうやって囲碁界のツイートが盛り上がってくれば、他にもツイッターを始めてくれるプロ棋士が増えてくるかも。」

薫ちゃん「今のピンチを、みんなでチャンスに変えちゃいましょう!」

第44話「囲碁AIを使ってみよう!」の巻

薫ちゃん「先生、私もようやく19路盤で対局できるようになってきました。」

石野先生「へぇ~、それはすごいね。誰かと対局しているの?」

薫ちゃん「まだ、コンピュータに相手をしてもらっている段階です。でも、そろそろ誰かと打ってみたいなぁとも思ってます。」

石野先生「うんうん、やっぱり囲碁の醍醐味は誰かと打ってみることだよね。コンピュータとの対局ももちろん面白いんだけれど、やっぱり無機質だし、人間を相手にするときのドキドキ感やプレッシャーを味わうことはできないからね。」

薫ちゃん「で、先生、ちょっと困ってるんですよ。」

石野先生「何だい、囲碁のことなら何でも相談に乗るよ。」

薫ちゃん「19路盤になるとあまりにも碁盤が広すぎて、最初のうちはどこに打っていいのか全く分からないんです。何かいい方法はありませんか?」

石野先生「そうなんだ・・・よしっ、ちょっと早いかもしれないけれど、今流行りの囲碁AIを使ってみますか!」

薫ちゃん「囲碁AIですか・・・私、パソコンとかそういうの超苦手なんですよね。それに、新しいソフトを買うお金もないし・・・」

石野先生「大丈夫だよ。今は簡単にアプリをインストールして使えるようになってきたし、無料でも十分すぎるくらいの強さのAIを手に入れることができるようにもなっているんだ。」

薫ちゃん「簡単でしかも無料だなんて、利用しない手はありませんよね。」

石野先生「じゃあ薫ちゃん、一番よく使う端末は何かな?パソコン?スマホ?」

薫ちゃん「もちろん、スマホですよ。パソコンなんて、最近はほとんど使ってませんから。」

石野先生「よし、じゃあスマホで簡単に使える囲碁AIを紹介しよう。といっても、囲碁AIはLeelaZero(リーラゼロ)のほぼ一択だから、正確にはこのLeelaZeroを使うためのアプリの紹介になるかな。」

薫ちゃん「難しいことをいってないで、早く教えてくださいよぉ。」

石野先生「まずは、Androidのアプリだ。Androidには、いくつか囲碁AIのアプリがあるんだけれど、僕の知る限り一番簡単に使えるのは、この『LazyBaduk』だね。」


https://play.google.com/store/apps/details?id=net.inclem.lazybaduk

薫ちゃん「『LazyBaduk』・・・つまり、『怠け者の囲碁』ってことですね。」

石野先生「そう、このアプリは面倒なことが苦手な怠け者にぴったりのアプリだよ。とにかく、GooglePlayからダウンロードしてインストールしさえすれば、すぐに囲碁AIを楽しむことができるんだ。まぁ、作者はそういう意図で『Lazy』と名付けたんじゃないとは思うけどね。」

薫ちゃん「早速、インストールしてみましたよ。どれどれ・・・あ、なんか盤面に数字が出てきた。」

石野先生「その数字が、そこに打った時の勝利確立を示しているんだ。当然ながら、数字が大きいほうが勝率が高い良い手ということになるよ。」

薫ちゃん「なるほど、これを使えば、自分がどう打てばいいかわからない場面でも、答えを見つけることができるわけですね。」

石野先生「念のために行っておくけれど、誰かとネット碁を打つときにこのAIを使うのは厳禁だ。あくまでも、対局が終わってからの反省と勉強のために使うこと!」

薫ちゃん「は~い。」

石野先生「よしっ、じゃあiPhoneのアプリも紹介しておこうか。」

薫ちゃん「Androidと同じアプリはないんですか?」

石野先生「iPhoneはねぇ、残念ながらAndroidに比べると囲碁関係のアプリが少なくてね。囲碁AIのアプリも有料のものになっちゃうんだ。」


囲碁の師匠

薫ちゃん「『囲碁の師匠』ですか。何だかカッコいい名前ですね。」

石野先生「開発したのは、日本の方みたいだね。このアプリは、残念ながら無料ではなくて、1,200円で販売されている。」

薫ちゃん「1,200円って、そんなに高いわけじゃないですよね。」

石野先生「うん、アプリの価値を考えれば、これくらいは出してもいいんじゃないかな。実際、僕も自分のiPadにはインストールしているからね。」

薫ちゃん「じゃあ、先生はAndroidとiPadの両方を使っているってことですか。」

石野先生「まあ、その場の状況によってね。」

薫ちゃん「私はスマホがメインなんですけど、中にはパソコンをメインで使っている人もいますよね。そんな人におすすめなアプリはあるんですか?」

石野先生「パソコンになるとたくさんの選択肢があるんだけれど、ある程度はパソコンの知識がないと導入できないものが多くてね。でも、そんな中で、アプリをインストールだけで使えちゃう優れものが、株式会社ネット囲碁学園が提供してくれている『ネット囲碁学園システム』だ。」


株式会社ネット囲碁学園

薫ちゃん「なんだか、仰々しい名前ですね。」

石野先生「もともとは、ネット対局やネットでの囲碁指導なんかのために作られたアプリケーションだからね。その膨大な機能の一部で、囲碁AIを使うことができるんだ。」

薫ちゃん「インストールが難しいんじゃないんですか?」

石野先生「これが、メチャクチャ簡単なんだよ。画面の指示に従って、アプリをインストールするだけなんだ。」

薫ちゃん「ほかにも色々な機能があるんですね。」

石野先生「うん、プロ棋士三村智保(みむらともやす)さんが監修して作り上げたアプリらしくてね、囲碁を楽しむためのあらゆる機能を持っているといってもいいくらいの出来栄えだ。こんな素晴らしいアプリのほとんどの機能を無料で提供してくれるネット囲碁学園さんは、本当に素晴らしい会社だよね。」

薫ちゃん「きっと、社長さんが囲碁大好きなんでしょうね。」

石野先生「うん、ホームページでは社長さんがその熱い思いを語ってくれていたよ。」

薫ちゃん「じゃあ、私たちもその思いにこたえないといけませんね。」

石野先生「うん、そうだね。」

薫ちゃん「よ~し、私もこの囲碁AIで勉強して、いつかAIよりも強くなってやるぞ~。」

石野先生「その意気だよ、薫ちゃん。」