薫ちゃんの徒然囲碁日記

囲碁に少しでも興味を持ってくれた方が、より囲碁を楽しめるような豆知識を紹介していきます。

第47話「碁盤と碁石、どうやって手に入れる?(後編)」の巻

石野先生「じゃあ、薫ちゃん、続いて碁石の話をしようか。」

薫ちゃん「はい、お願いします。」

石野先生「碁石はね、材質と厚さによって値段が決まるんだ。」

薫ちゃん「碁石にも、材質があるんですね。」

石野先生「1番お高いのは、蛤(はまぐり)でできた白石と、那智黒と呼ばれる石でできた黒石のセットだ。」

薫ちゃん「白石って、蛤でできてたんですね!」

石野先生「高級品は、蛤の貝殻をくり抜いて作っているんだ。当然、厚い碁石を作るためには、大きく成長した蛤の貝殻が必要になってくるから、厚くなればなるほどどんどんお値段も高くなっていくよ。」

薫ちゃん「これも、私のお小遣いじゃ買えそうにないので、もう少し安いものはありませんか?」

石野先生「次は、ぐっとお安くなって、ガラス製の碁石がある。薫ちゃんには、このあたりがおすすめかな。」

薫ちゃん「ガラスの碁石にも、やっぱりいろいろな厚さのものがあるんですか?」

石野先生「そうだね。でも、ガラスの碁石は工業的に作るから、それほどはお値段に差がないよ。それにね、碁盤と同じで、厚ければいいってものでもないんだよ。」

薫ちゃん「そうなんだ!」

石野先生「ぶ厚い碁石は、パチンといい音はするんだけれど、打ったあともしばらくゆらゆら揺れているし、下手に打つところころ転がっていっちゃうしで、結構扱いづらいんだ。おすすめは、厚さ9㎜(32号〜33号)くらいのものかな。」

薫ちゃん「じゃあ、私はガラス製の碁石にしようっと。」

石野先生「そうだね。1番安いもので、プラスチック製の碁石もあるんだけど、打ったときの『ペチッ』っていう音は、さすがに雰囲気が出ないと思うよ。」

薫ちゃん「最後は、碁石のケースですね。」

石野先生「ケースって・・・あれには『碁笥(ごけ)』っていう立派な名前があるんだから。」

薫ちゃん「えっ、全然知りませんでした・・・」

石野先生「碁笥も、材質と大きさで値段が決まるんだけれど、これもとりあえずは木でできたものを買っておけば無難かな。一応、桑の木でできたものとかが高級品なんだけど、そこまでしなくても、栗の木とかの安いもので十分だと思うよ。」

薫ちゃん「プラスチックのケース、じゃなくて、碁笥もありますけど、やっぱりダメですか?」

石野先生「全然ダメじゃない。まあ、石を入れたり、アゲハマを蓋に入れたりするときの『カラン』っていう音が、プラスチックだと安っぽいかなっていう程度だ。」

薫ちゃん「・・・やる気を出したいから、木の碁笥にします!」

石野先生「碁盤・碁石・碁笥の3点セットがあれば、完璧だね。」

薫ちゃん「さっそく、ネットで調べてみます!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

石野先生「どう、薫ちゃん、お気に入りは見つかったかい?」

薫ちゃん「・・・先生・・・碁盤も碁石も意外と高いんですね・・・」

石野先生「う〜ん、さっきの条件で新品を買おうとすると、安いものでも3万円くらいはするじゃないかな。」

薫ちゃん「ですよね。はぁぁぁ、今はそんなにお小遣いがないから、これからお小遣いをちょっとずつためて、来年のお年玉で買うことにします。」

石野先生「おっ、すぐに親にねだったりしないところは、根性あるね。」

薫ちゃん「だって、先生に家庭教師をお願いしているのだって私の希望だし、これから大学受験とかでお金がいるだろうし、これ以上両親にわがまま言えませんよ。」

石野先生「・・・偉いっ、偉いよ、薫ちゃん(感涙)今どきの高校生は、みんなそんなにしっかりしてるのかなぁ。」

薫ちゃん「からかわないでください。」

石野先生「よしっ、じゃあこうしよう。僕が持っている碁盤と碁石を、一組薫ちゃんにプレゼントするよ。」

薫ちゃん「ええっ、そんなの、先生に悪いですよ。」

石野先生「いいんだ、家には碁盤と碁石が四組あるし、あげるのはネットオークションで落札した一番安いやつだから。」

薫ちゃん「それでも・・・やっぱり申し訳ないです。」

石野先生「じゃあその代わりにさ、薫ちゃん、その碁盤と碁石で勉強して、僕と一緒にペア碁の大会に出場しようよ。」

薫ちゃん「いやいやいや、無理ですよ。私なんかが出ても、先生の足を引っ張るだけですし・・・」

石野先生「いいんだよ、僕は出場できるだけでいいんだし。それに、目標があったほうが、勉強にも力が入るでしょ?」

薫ちゃん「分かりました。でも、もらうのはやっぱり申し訳ないので、その碁盤と碁石を私に貸してください。」

石野先生「ん、分かったよ。じゃあ、そうしよう。今度来るときに、持ってくるからね。」

薫ちゃん「はい、お願いします。」

石野先生「それにしても、どんなふうに育てたら、こんないい子になるんだろう。薫ちゃんのお母さんに、聞いてみたいよ。」

薫ちゃん「バカなこと言ってないで、勉強始めましょ、先生。」