薫ちゃんの徒然囲碁日記

囲碁に少しでも興味を持ってくれた方が、より囲碁を楽しめるような豆知識を紹介していきます。

第13話「『封じ手』って何ですか?」の巻

石野先生「いよいよ、棋聖戦第6局が始まったね。」

薫ちゃん「確か、井山さんと河野さんが対決してるんでしたよね。」

石野先生「そう、井山裕太(いやまゆうた)棋聖に、河野臨(こうのりん)先生が挑戦しているんだね。これまで、井山棋聖から見て3勝2敗、井山棋聖が勝てばタイトル防衛、河野先生が勝てば最終戦までもつれ込むことになる。」

薫ちゃん「ネットの記事を見ていると、1日目が終わったって書いてるんですけど、何日もかけて打つものなんですか?」

石野先生「おっ、いい質問だね。もちろん、ほとんどの対局は、1日で終わるよ、でもね、3第タイトルと呼ばれる棋聖・名人・本因坊の挑戦手合いだけは、1局につき2日間かけて行われるんだ。」

薫ちゃん「は〜、2日間も!私だったら、絶対に途中で眠くなっちゃいます。」

石野先生「いや、もちろんぶっ続けで2日間打ち続けるわけじゃなくて、お昼休みはあるし、夜はちゃんと封じ手をして寝ているよ。」

薫ちゃん「先生、『封じ手』って何ですか?」

石野先生「そっか、封じ手っていっても分からないよね。封じ手っていうのはね、2日制の対局にしかないルールなんだよ。」

薫ちゃん「ふ〜ん。」

石野先生「例えばだけれど、夜、黒番の人が打ってから休憩に入ると、どうなると思う?」

薫ちゃん「えっ、どうって、何か起こるんですか?」

石野先生「うん、白番の人は、一晩中黒の一手に対する対策を考えることができちゃうよね。」

薫ちゃん「ホントだ。白の人が有利になっちゃいますね。」

石野先生「そうなんだ。だから封じ手という制度があるんだよ。

薫ちゃん「えっと、具体的にはどうするんですか?」

石野先生「1日目の定刻が来たら、手番の人は、まず自分が打ちたいところを決めて、相手に見えないように紙に書く。」

薫ちゃん「ふんふん。」

石野先生「で、その紙を封筒に入れて、立会人に預けておくんだ。翌日対局を始めたら、立会人はその封筒を開けるってわけ。これが、封じ手の制度なんだ。」

薫ちゃん「なるほどね〜。」

石野先生「当然、囲碁関係者は、封じ手がどこになったのか興味津々。色々なサイトや動画で、封じ手の予想が行われているよ。」

薫ちゃん「私も予想してみたいです!」

石野先生「じゃあ、これが1日目の最終局面なんだけれど、薫ちゃんならどこに打つ?」

薫ちゃん「・・・やっぱり、やめときます。」

石野先生「いやいや、別にテストを受けているわけじゃないんだから、気軽に予想すればいいんだよ。」

薫ちゃん「じゃあ、ここ・・・かな?」f:id:iyowotoko:20200306065340j:image

石野先生「・・・薫ちゃん、絶対囲碁の才能あるよ。」

薫ちゃん「当たってそうですか?」

石野先生「いや、多分はずれていると思うけれど、面白そうな手だとは思うよ。」

薫ちゃん「そうなんだ。」

石野先生「よしっ、じゃあ封じ手の発表を楽しみにしていよう。」

薫ちゃん「は〜い。」