薫ちゃんの徒然囲碁日記

囲碁に少しでも興味を持ってくれた方が、より囲碁を楽しめるような豆知識を紹介していきます。

第7話「『棋聖』って偉いんですか?」の巻

薫ちゃん「最近、『棋聖戦』っていうワードをよく見かけますよね。昨日も、河野さんって人が井山さんに勝ったってニュースが載ってましたし。」

石野先生「おっ、薫ちゃん、よく勉強しているね。いよいよ、本格的に囲碁に取り組む気になったのかな。」

薫ちゃん「私は最初から本気ですよ(怒)」

石野先生「ごめんごめん。『棋聖』というのは、囲碁の7大タイトルの1つでね、タイトルの中で一番格が上なんだ。」

薫ちゃん「格?同じタイトルでも、格が違うんですか?」

石野先生「そうなんだよ。7大タイトルには明確な序列があってね。序列順に並べると、『棋聖、名人、本因坊(ほんいんぼう)、王座、天元(てんげん)、碁聖(ごせい)、十段』の順番になる。つまり、『棋聖』のタイトルを持っている人が、囲碁界では一番偉いってことなんだ。」

薫ちゃん「その順番って、何で決まるんですか?」

石野先生「それはね、賞金額なんだ。」

薫ちゃん「えっ、賞金だけですか?他にも、歴史が長いとか、出場棋士が多いとか・・・」

石野先生「賞金額の一択だ。」

薫ちゃん「ドライな世界ですね。よくわからないけど、ちょっとショックです。」

石野先生「まあ、わかりやすくていいよね(笑)スポンサーも、自分のところが主催する棋戦の格を上げようと賞金も上げてくれるだろうし。」

薫ちゃん「ちなみに、賞金っていくらぐらいもらえるものなんですか?」

石野先生「一番賞金が高いのは、棋聖の4,500万円だ。」

薫ちゃん「えぇぇぇ、そんなに!?」

石野先生「いやいや、全ての棋士の頂点に立つんだから、これくらいはもらわないと。ちなみに、7大タイトルの賞金は、
 棋聖  4,500万円
 名人  3,100万円
 本因坊 2,800万円
 王座  1,400万円
 天元  1,300万円
 碁聖     800万円
 十段     700万円
ってなってるよ。」

薫ちゃん「タイトルによって、ずいぶん差があるんですね。」

石野先生「そうだね。」

薫ちゃん「プロ棋士のお給料って、このタイトル料だけなんですか?」

石野先生「いや、タイトル料とは別に、対局すれば対局料がもらえるね。でも、タイトル料と対局料だけで食べていけるプロ棋士は、ほんの一握り。ほとんどの棋士は、アマチュアの指導とか、イベントの出演とか、副業でも稼いで生活しているはずだ。」

薫ちゃん「厳しい世界ですね。」

石野先生「そうかもしれないけれど、プロの世界はどこも一緒なんじゃないかな。例えばゴルフだって、プロといっても、トーナメントプロもいればレッスンプロもいるでしょ。」

薫ちゃん「そっか、囲碁の普及もプロ棋士の大事なお仕事でしたよね」

石野先生「そういうこと。」

薫ちゃん「ところで、棋聖戦の記事に出ていた井山さんって、強い人なんですか?」

石野先生「井山裕太(いやまゆうた)先生だね。強いなんてもんじゃないよ(笑)囲碁界で唯一、7大タイトルをすべて独占する7冠を達成した人なんだ。」

薫ちゃん「ええっ、すごい!賞金だけでも、1億円を超えちゃいますね!」

石野先生「賞金ってところが気にかかるけれど、そのすごさが分かってもらえてよかったよ。今や、名実ともに囲碁界の第一人者だ。」

薫ちゃん「そんな人が囲碁界にいるなんて、全く知りませんでした。」

石野先生「2018年には、将棋の羽生善治先生と一緒に国民栄誉賞を受賞しているんだけれど、ニュースとかで見なかった?」

薫ちゃん「う~ん、覚えてないかも・・・」

石野先生「そんなものかな。こりゃ、プロ棋士の先生たちに、普及活動も頑張ってもらわないといけないね。」