薫ちゃんの徒然囲碁日記

囲碁に少しでも興味を持ってくれた方が、より囲碁を楽しめるような豆知識を紹介していきます。

第2話「薫ちゃん、囲碁の歴史を知る」の巻

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【登場人物紹介】

薫(かおる)ちゃん(16歳):高校1年生の女の子。ふとしたことから囲碁に興味を持つ。

石野(いしの)先生(21歳):薫ちゃんの家庭教師の大学生。大学では囲碁部に所属している。

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石野先生「よし、今日の勉強はここまでにして、囲碁の勉強を始めようか。」

薫ちゃん「はい、いよいよですね。まずは、囲碁のルールからですか?」

石野先生「ははは、早くルールを覚えたいだろうけれど、まずは薫ちゃんに囲碁のことをよく知ってもらいたいと思っているんだ。」

薫ちゃん「囲碁のことを・・・ですか。」

石野先生「うん、囲碁のことをよく知ってもらって、囲碁に興味を持ってもらえたら、そのあとのルールの覚えも上達も早いだろうと思ってね。」

薫ちゃん「分かりました。」

石野先生「じゃあ、まず囲碁の歴史から勉強してみようか。」

薫ちゃん「歴史、ですか。何だか、学校の勉強みたいだなぁ」

石野先生「まあまあ、別に覚えなくてもいいんだから、気楽に聞いてよ。」

薫ちゃん「分かりました。」

石野先生「じゃあまず、囲碁はいつ頃どこで始まったか知ってる?」

薫ちゃん「えっ!?囲碁って、日本のものじゃないんですか?」

石野先生「それが、違うんだな。囲碁は、中国で発明されたといわれている。」

薫ちゃん「中国ですか。じゃあ、その歴史も3千年とか4千年とかですか。」

石野先生「おっ、ちゃんと世界史を勉強してるね(笑)でも、いつ頃始まったかについては、実はよく分かっていないんだ。まあ、少なくとも2千年前くらいには中国で囲碁が打たれていたらしいよ。」

薫ちゃん「2千年前・・・気が遠くなりますね。そのころの日本って、どんなだったんだろ。」

石野先生「日本だと、弥生時代と呼ばれている時代かな。」

薫ちゃん「じゃあ、日本には中国から伝わってきたんですか。」

石野先生「その可能性が高いだろうね。」

薫ちゃん「とすると、遣隋使とか遣唐使とかの時代かな。」

石野先生「薫ちゃん、鋭いね。でも、実際のところはこちらもよく分かっていないんだよ。源氏物語枕草子には囲碁に関する記述があるらしいから、その時代より前から打たれていたことは間違いないだろうけどね。」

薫ちゃん「奈良時代平安時代の、囲碁の記録って残ってるんですか?」

石野先生「中国の唐の時代に、囲碁を勉強するために、日本から遣唐使として唐に渡った人がいたらしいよ。『唐で3番目に強い打ち手と対戦したが、相手の絶妙の一手で負けてしまった。』と、唐の歴史書に書かれているんだって。」

薫ちゃん「3番目の人に負けちゃうなんて、唐のほうが囲碁のレベルが高かったんですね。」

石野先生「この話には、後日談があってね。実は3番目といっていたのは間違いで、実はNo.1の打ち手だったって。唐の人たちが見栄を張って、3番目だって嘘をついていたらしい。」

薫ちゃん「その話、本当なんですか?なんか怪しいなぁ。」

石野先生「まあ、本当かどうかは別として、それくらい昔から囲碁が打たれていたってことだよね。」

薫ちゃん「この前、囲碁のプロがいるって言ってましたけど、プロが出てくるのっていつ頃なんですか?」

石野先生「今のプロとはちょっと違うんだけれど、囲碁を専業とする人たちが出てきたのは、戦国時代の後からになるのかな。織田信長の時代に、本因坊算砂(ほんいんぼうさんさ)というメチャクチャに碁が強い人がいてね、その算砂は秀吉や家康からお給料をもらっていたらしいよ。」

薫ちゃん「本因坊・・・変わった名前ですね(笑)」

石野先生「本当だね(笑)江戸時代には、本因坊家以外にも「安井」「井上」「林」の三家が囲碁の家元として有名だったんだって。」

薫ちゃん「今は名前を聞くことがありませんね。」

石野先生「囲碁四家も江戸時代には栄えていたんだと思うけれど、明治維新から昭和にかけての激動の時代の中で、系譜を繋ぐことができなかったんだろうね。」

薫ちゃん「現代のプロ制度はどうなっているんですか?」

石野先生「今は、囲碁の組織として『日本棋院』と『関西棋院』という大きな組織があってね、その2つの組織がプロ棋士の採用試験を実施しているんだ。」

薫ちゃん「先生は、その採用試験を受けたりしないんですか?」

石野先生「いやいや、僕なんかはとても無理だよ。プロ試験を受けるのは、小さいころから神童と呼ばれているような子供たちばかりだからね。」

薫ちゃん「そういえば、芝野虎丸さんは14歳でプロになったって、テレビでいってました。」

石野先生「でももっと若いうちにプロになった人もいるんだよ。去年話題になった仲邑菫(なかむらすみれ)ちゃんは、何と10歳でプロデビューだ。」

薫ちゃん「10歳!まだ小学生じゃないですか!」

石野先生「うん、本当にすごいことだよね。もちろん、プロデビューした後も格上の相手からどんどん勝ち星を挙げているから、将来が楽しみだよ。」

薫ちゃん「他にも、プロの人ってたくさんいるんでしょう?」

石野先生「もちろんだよ。よし、次回は有名なプロ棋士のことを教えてあげよう。」

薫ちゃん「はい、楽しみにしています。」