薫ちゃんの徒然囲碁日記

囲碁に少しでも興味を持ってくれた方が、より囲碁を楽しめるような豆知識を紹介していきます。

第4話「プロ棋士って変わった人ばかり?」の巻

薫ちゃん「先生、最近囲碁のことがずいぶん話題になってますね。」

石野先生「依田紀基(よだのりもと)先生の対局停止処分のことかな。」

薫ちゃん「はい、執行部を批判したことが原因なんだって・・・」

石野先生「執行部批判は本当のことなんだろうけれど、対局停止はさすがにやりすぎなんじゃないかな。依田先生に碁を打つなというのは、死ねといっているようなもんだよ。」

薫ちゃん「そんな大げさな(笑)」

石野先生「それが、依田先生に限っては大げさじゃないんだよ。僕がいうのも変だけれど、依田先生は囲碁以外に生きる道はないと思っているんじゃないかな。」

薫ちゃん「そんなにすごい人なんですか?」

石野先生「あちこちで、『最後の無頼派』なんて書かれてたよね。『無頼派』という言葉がこの場合適切かどうかは気にはなるけれど、とにかく破天荒な先生なのは間違いない。」

薫ちゃん「破天荒といえば、前に藤沢秀行さんのことも破天荒っていってましたよね。」

石野先生「よく覚えているね!そう、依田先生は、秀行先生が開催していた秀行塾というプロ棋士の勉強会に参加していてね、ずいぶん影響を受けているはずなんだ。」

薫ちゃん「じゃあ、その秀行先生のせいで無頼派になっちゃったんですね。」

石野先生「いや、無頼派は秀行先生に出会う前からだと思うよ(笑)小学生のときは成績がオール1だったとか、バカラでとんでもない金額をスッたとか、自分の家の住所が書けなかったとか、この手のエピソードには事欠かない先生だ。」

薫ちゃん「それって、典型的なダメ人間じゃないですか。」

石野先生「いや、これが囲碁のほうは超一流でね、タイトルを35回も獲得しているんだよ。これは、歴代8位の記録なんだ。」

薫ちゃん「ふ〜ん、じゃあ1位は誰なんですか?」

石野先生「よくぞ聞いてくれました。1位は、趙治勲(ちょうちくん)先生の75回だ。」

薫ちゃん「75回・・・すごい記録なんですよね?」

石野先生「そうだね。プロ棋士はスポーツ選手と違って現役の期間が長いから、時にとんでもない記録が生まれたりするよね。藤沢秀行先生が最後にタイトルを獲得したのは、何と67歳の時だったんだよ。」

薫ちゃん「67歳!私のおじいちゃんとおんなじ歳だ。」

石野先生「話を治勲先生に戻すけれど、この先生は話が面白いことで有名でね、解説会なんかは笑いが絶えないらしいよ。その才能を活かして、『週刊碁』という囲碁の週刊誌では、『お悩み天国』という悩み事相談を連載しているんだ。」

薫ちゃん「へ〜。」

石野先生「もちろん、囲碁に対する姿勢は真剣そのもの。その昔、大きな交通事故にあったときに、『頭に影響があるといけないから、麻酔なしで手術してくれ』ってお医者さんに頼んだというエピソードが残っているくらいなんだ。」

薫ちゃん「プロ棋士としてはすごいエピソードなんでしょうけど、もし自分の家族だったらドン引きしちゃいますね。」

石野先生「そこまで人生を囲碁に捧げているからこそ、トップであり続けられるんじゃないかな。」

薫ちゃん「何か私、プロ棋士の人たちが怖くなってきちゃいました。」

石野先生「いやいやいや、もちろんプロ棋士にも普通の(?)人は大勢いるんだよ。」

薫ちゃん「じゃあ、次回はその『普通の人』を紹介してください。」

石野先生「よしっ、楽しみに待っててよ。」